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駒形克己さん [Gallery/美術館]

2024年3月29日
造本作家・デザイナーの駒形克己さんが永眠されました。

2012年に夏のセミナー「出版に向けた絵本の試作づくり」に参加した時が出会い。講師である駒形さんの授業が素晴らしすぎて、個別アドバイスも的確で、本当に勇気をもらえました。(板橋区立美術館が企画するイベントの講師陣がいつも凄い。私にとって最強の学び場です。)


「種を作って、広い所へまきに行きましょう」

駒形さんに背中を押されて、「よし来年、ボローニャへ行くそ!」と決意。いつかはボローニャに行くのが夢だけど、現実は無理だろう~とぼんやり思っていたことは、駒形さんに出会ったことで一変しました。

しかし、そのすぐあとに駒形さんは、病気で緊急入院。次回のセミナーは中止。というお知らせが…
すごく驚きとショックで、何もするきになれず、気持ちが揺らいでいました。

そんな時、大病と闘っている駒形さんから発信がありました。
「セミナーが中止になって、ごめんなさい。でも本は是非仕上げてほしいです。そして、ボローニャへ!」と。

その言葉で、私は必死に試作本を仕上げて、駒形さんの居ないボローニャへ一人旅立つことになりました。

すごく影響力のある方でした。恩師です。
白血病を克服されて以来、駒形さんの講座、講演会やワークショップにできる限り参加しました。

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(画像は駒形さんFacebookより)


Twitterのつぶやきを大学ノートに書きとっていました。心に響いた言葉だけを選んで書き取ってましたが、ものすごい量の言葉たち。厚いノート1冊分の熱い思い。

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久しぶりに見返すと、背筋がピンとなる。

「…そして、種は腐らない。あきらめさえしなければ、いつか発芽する。」

 

最高の師です。
皆に残してきた言葉、態度、生き様は、一生の宝もの。

永遠に…



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ブラチスラバ世界絵本原画展 [Gallery/美術館]

仕事と勉強で、脇目も振らずに毎日を過ごしてきたので、ようやく一息ついて…

懐かしい場所 浦和へ!

30年位前この町で暮らしていた思い出。随分変わってしまったけれど、ヨーカドーとか、お世話になった小児科とか伊勢丹とか細い道は、変わらぬ佇まいでうれしい。

そして、やっと行けた美術館。

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「ブラチスラバ世界絵本原画展」は、スロバキア共和国の首都ブラチスラバで2年ごとに開催される、世界最大規模の絵本原画コンクール。

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世界で選ばれた芸術性の高い作品が並びます。感動の嵐です。

★BIB 2019で、きくちちきさんのもみじのてがみが金牌を受賞しました。
原画を見たら、圧倒されました。すごい迫力で迫ってくる感じ。

もみじのてがみ

もみじのてがみ

  • 作者: ちき, きくち
  • 出版社/メーカー: 小峰書店
  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: 大型本

★師匠 田島征三さんの原画も…
わたしの森に

わたしの森に

  • 出版社/メーカー: くもん出版
  • 発売日: 2018/08/02
  • メディア: 大型本
この絵本は、木の実の美術館の展示制作中に描かれ、手伝いをしていた私は、絵本が出来ていく様子を 傍で垣間見ていた…
朝から夕までずっと美術館の作品制作、体力勝負。夜は遅くまで食べて飲んで騒いで…
皆、暑さと疲れでヘトヘト…
だけど征三さんは、誰より早く起きて、こっそり朝5時から絵本を描いてる姿を、私は知っている。
畳の部屋に何枚もの原画が広げられていて、悩み描き直しながら、完成させていく。
いくつもの仕事を並行してやっている。
すごく制作に情熱的で、尊敬できる人。
作家のアーサービナードさんも丁度いらっしゃって、楽しくお話した思い出。
あの時のあの原画が この場所にあって、私は なんだか不思議な世界空間を さまよってるみたい…
展示された数枚の原画を見ると、鮮やかに蘇るあの夏。

★さかたきよこさんの原画
金の鳥 (世界のむかしばなし)

金の鳥 (世界のむかしばなし)

  • 出版社/メーカー: ビーエル出版
  • 発売日: 2018/12/20
  • メディア: 単行本





ドゥシャン・カーライさんが講師の冬のアトリエで一緒に学んだ仲間です。その時見せてもらった挿絵の本も展示されていて感動。努力の痕跡。『金の鳥』の原画が繊細な手描きの絵で、美しい~



やっぱり、その世界に入り込める絵本は素晴らしい!

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大地の芸術祭…熱い夏 [Gallery/美術館]

越後妻有アートトリエンナーレ2018・ 大地の芸術祭が始まっています。
http://www.echigo-tsumari.jp/ 2018.7月29日~9月17日

私は、しばらく休養していたのですが、久しぶりの制作。
「絵本と木の実の美術館」で!

3年に一度の大きな芸術祭です。
その準備期間中のことを 少し書きます。

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新潟県十日町市の鉢集落に 泊り込みで作業。
しばらく来てないうちに、ヤギの赤ちゃん産まれてたよ~
ホタル、昼もいっぱい飛んできます。
夜は、満天の星空と、頭上を飛び交うホタルで、幻想的世界。自然が創るアートみたい。

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でっかいマムシトンネル!
昨年の 木や竹を切る作業から、ひとつひとつ、田島征三さんのアイディアを、皆で造りあげていく…

「木遣り」で神様に安全をお祈り。心が洗われるよう。
森に、心に、響く歌声。

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私は、征三さんから 地図描きを命ぜられ、嬉しいことです。
が、悩む…悩む!
ドア1枚分に、学校内の見取り図と、校庭の巨大な創作物…画面足りなさを 工夫して描き入れなければ。
平面と立体と、そしてまだ見ぬ作品の完成を想像して 先に描かねばならぬ プレッシャー。

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びっくりしたこと 
小川を描いていたら…虫がトコトコやってきて…
絵の中の水に おしりを着けて…飛んでいった。

排泄物を残して…
えーっ! トイレだと思ったのかな? 本物の川に見えたのかな?

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一度終了したけど、気になってまた描き直しに行きました。
この夏は、暑くてクラクラ…
そして、やっと、完成!!

外に置いてあります。来館したときは、見てくださいね~

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毎日、地元食材のおいしい食事を いただいていました。感謝です。
7月1日は 何とかの日で、三角ちまきに 黄な粉をかけて、いただきました。初めての味。
脱皮して、新しい自分に 生まれ変われるように。

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ヘビは、豪雪には耐えられないの。
このマムシ、冬が来る前にいなくなるようです。

長い時間をかけて造ったモノを通して、みんなの努力、苦しみ、喜び、感動、ひとつになって、天に昇っていくことでしょう…

***************


***************


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絵本の夏休み [Gallery/美術館]

夏休みを もらったので、東京方面へ。

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まずは、うらわ美術館で開催中の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」 

毎回観てきたけど、BIB50周年の今回は、特に見ごたえありました。

このとき観ていた原画や絵本は、次の日からの学びに、まさにリンクしていたので、 先に行っておいてよかったです。

********** 

次の日とは…
毎年行ってる板橋区立美術館「ボローニャ国際絵本原画展」

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関連講座で、夏の教室を 2日間みっちり受講してきました。

講師陣は、広松由希子さん、兼森理恵さん、小野明さん、松本育子さん、降矢奈々さん、
って、すご過ぎます。
ひたすら メモメモ…
濃厚な 時間。
絵本愛の熱が ビシバシ伝わってきて、とろけそうでした~。

受け取った熱は、どこかで放熱しなくては。。。

作品づくりに、この熱がうつって、それが誰かに伝わると いいのだけどね! 

とにかく、たくさん 観て、読んで、聴いて、歩いた 熱い夏でした! 

 


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「空間絵本」写真集 [Gallery/美術館]

先日、田島征三さんの写真集が完成し、出版記念イベントがありました。
新潟ではなくて、大都会「渋谷ヒカリエ」で!

昨年の夏、皆で汗を流しながら制作した あの「絵本と木の実の美術館」の本です。 

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2日間、大盛況でした。 

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私も、30日の公開制作、木の実を挿す お手伝いをしてました。
31日は、対談とパーティーで。

そしたら偶然が…展示を見に来た、友達にばったり。知り合いや たくさんの出会いがあって、びっくり。
さすが田島征三さんのチカラ。

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そして、もちろん購入しましたよ。写真集。

この部分は、自分が木の実をさしたとか、色を塗ったとか、本の中から見つけては、密かに楽しんでいます。

おまけもいっぱい入っていて、面白いアイディア。 


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大地の芸術祭 [Gallery/美術館]

3年に一度の「越後妻有 大地の芸術祭」が始まっています。

その中の一つである「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」
私は、千葉に住んでいた頃から、何度も来ていました。
他の美術館にはない魅力…何かにひかれて…なんだろう…

今年は、新潟に引っ越してきたこともあり、
制作のお手伝いをさせてもらいました。

田島征三さんをはじめ、スタッフさん、お手伝いの方々
働き詰めで、本当にすごいです。
全身全霊で戦っている感じ。
それなのに、皆さん、優しくしてくれる… 感謝。

モノを創る姿勢とか、情熱とか、努力に感動です。
こうやって、日本や世界に誇れる作品が出来上がっていくんだな~

私は、体力なくフラフラで…行って帰っては寝込んで…の繰り返しでしたが、
ほんの少しでも、制作にかかわることができ、
この夏の出会いに感謝します!

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美術館の地図描き、お手伝いさせてもらって、ありがとうございます。

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流木のオブジェは…圧巻 

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どんぐりの袴を一個ずつ にかわで着けた絵

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行く時、ほくほく線で、ハートのつり革見つけたー!
一日に一本のみ。出会えたら、思いが叶うんだって!

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美術館で、真っ赤なトンボ。
初めて見る。とんがらしみたい…

*******

たくさんの人たちの力が合わさってできた美術館です!

「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」HP↓

http://ehontokinomi-museum.jp/

 


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ヤギの入学式 [Gallery/美術館]

先月のことですが、絵本と木の実の美術館に
3匹のヤギが、入学してきました~!

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お母さんの名前は、しずか。
本当の子どもは、男の子1匹だけですが、
捨てヤギだった女の子も、しずかの子として、一緒にやってきました。

本来ヤギは、 自分の子ども以外は、決して子育てしないそうですが、
ヤギ専門家の明夫さんが、認知作戦を考え、成功。
今は、双子のように、しずかは授乳しています。すごいな~

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ヤギって、ほんとに生命力にあふれています。
必死に生きている…

見ていると、一日中草を食べていて、成長も早い。 
小さいのに、ジャンプ力にも驚きです。

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美術館になる前の小学校でも、ヤギを飼っていたそうです。
子どもたちがヤギの世話をするって、とても良い体験。
机の勉強より、大切だったりして…

 


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板橋区立美術館ボローニャ展 [Gallery/美術館]

インドの出版社、タラブックスのギータ・ウォルフさんが講師の「夏のアトリエ」に参加しました。

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(おもちゃのようだけど、今でも使われてるインドの絵本!)

***

今年の春、イタリアのボローニャの国際見本市会場に着いた時、
どこに何があるのか分からず、途方に暮れて一人歩いていました。

そして、目の前に見つけたのが、「small world」のブース!
ここで、初めて手に取ったのが、「Tara books」の本!

シルクスクリーンの手づくりの重厚感、インクの香り、今まで見たことない本に、すっかり魅了されてしまいました。
他の素晴らしい本も、ぼやけてしまうほど・・・

絵本原画展の審査員でもあるギータさんは、常に忙しそうで、
声もかけられずじまいで、日本に帰りました。。。

***

運命の糸なのか… 数ヵ月後、ギータさん来日、「夏のアトリエ」で指導を受けられる機会に恵まれました。
あの時、巡り合った本の感動が再び・・・!

ギータさんは、計画的で、熱意のこもった、内容の濃い~5日間でした。
私は今まで、どれだけ狭い制限の中にいたのだろう・・・
素材や形態から見直し、違う観点から本を考えるようになりました。

ギータさんは、最高の先生です!

***

その一週間後には、駒形克己さん、復帰の感動の講演会。。。
ギータさんと駒形さんのお話には、共通するものがありました。

この夏は、板橋美術館づくし・・・
片道2時間半 かかるけど、たくさん通いました~!
ボローニャ展も 何度も観ました!

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(皆さんのカードが動物になってる花束。素敵!)

***

私が感動した、タラブックスのシルクスクリーンの本 ↓

The Night Life of Trees

The Night Life of Trees

  • 作者: Gita Wolf-Sampath
  • 出版社/メーカー: Tara Publishing
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: ハードカバー
日本語版も出ました!でも品切れ状態かも… ↓

夜の木

夜の木

  • 作者: バッジュ・シャーム
  • 出版社/メーカー: タムラ堂
  • 発売日: 2012/07/17
  • メディア: 大型本




タグ:tara books
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スズキコージ・ライブペインティング [Gallery/美術館]

「スズキコージ ワンダ~?フル・ゾーン」
コニカミノルタプラザ 11月2日~18日

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スズキコージさんの個展へ行ったら、
憧れのスズキコージさんがいらっしゃいまして、お話できました。

「あなたは、今やってることなんか やめちゃって、放浪の旅に出なさい!!」
って、最高のアドバイス(?)をもらい、
他にも心に響くお言葉を たくさん もらい、クラクラしてました~。

*

目の前で、4mの大きなキャンバスに 次々と描かれていく絵を、
独占状態で、時間の経つのも忘れて、長いこと眺め…

絵の魔力は、すごい!
どんどん夢の世界へ……

いつの間にか、大勢の人が集まってきたのに気がついて、
やっと立ち上がることが出来ました。

スズキコージさんは、きっと 魔法使いだと思います。

あれから3日経って、私はたぶん、夢から覚めていると思うけど、
頂いたパワーと、たくさんのお言葉は、心に刻んでおこう…。

*

スズキコージズキンの大魔法画集

スズキコージズキンの大魔法画集

  • 作者: スズキ コージ
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 大型本


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藤城清治 自宅スタジオ展 [Gallery/美術館]

 (~6月12日まで)

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藤城清治さんの素敵な影絵をはじめ、油絵やデッサンや
飼育している動物たちもたくさんいて、見ごたえありました。
自宅スタジオならではの展示です。

私の大好きなワライカワセミが!!
日本でこんなに間近で見られるとは、信じられない…幸せ。

昔、「Kookaburra」(クカブラ)♪ という英語の歌を教わってから、
この鳥に興味を持ち、いろいろ調べたり、スケッチしたりしてました。
だけど動物園の金網越しに、遠くからでしか観察出来なかったのです。

本来は、どう猛な肉食性の鳥なのですが~、玄関でみんな癒されてましたね~。
「かわいいけど、あんまり触らないでね。」(ケロヨンより)

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会場内は、写真撮影OKという寛大さ。

藤城清治さんの作品は、どこかで目にしている人も多いと思いますが、
足を運んで原画を見ないと、わからなかったです。
この仕組みとか、この迫力とか、写真だけでは伝わらないものが押し寄せてきます。

絵本「マボロシの鳥」の原画は、言葉にできないくらい圧巻でした。


絵本マボロシの鳥

絵本マボロシの鳥

  • 作者: 藤城 清治
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/05/17
  • メディア: 単行本


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岡本太郎「明日の神話」と、特別な時間 [Gallery/美術館]

フェルメール<地理学者>とオランダ・フランドル絵画展
Bnkamera ザ・ミュージアム (~5月22日まで)

これを観にいくため、渋谷へ。
この世に30数点しかないフェルメールの絵は、いつも大人気!
今回も、人垣の隙間から鑑賞。
立ち止まって、近づいて、ゆっくり観てみたいな。

***

フェルメールの美術館へ行く途中、魅せられたのは、
渋谷駅構内に飾られている岡本太郎「明日の神話」

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この壁画がいたずらされたと、今月初めの新聞で知ってから、心を痛めていました。
そして、この絵を見に行こうと思った今朝、犯人が見つかった記事が…。 ……。


*

この壁画は、原爆の炸裂する瞬間を描いたもの。
だけど、悲惨さを訴えてるのではなく、
それでも負けずに生きていく人間の 力強いメッセージが込められているのです。

「太陽の塔」と同時期にメキシコで制作されたもので、
30余年も行方不明に。

*

私は、太郎さんのパートナー岡本敏子さんから、直接 この壁画のお話を 伺いました。

「太郎さんの壁画を、長い間ずっと探している。 とってもすばらしいのよ!
 何が何でも見つけ出したい!

と、この絵に人生を 賭けていました。

美術館の学びの中で、敏子さんとの出会いは、
とても有意義で、幸せで、特別な時間。
憧れの女性です。

「太郎さんは、生きているの。今、ここに居るのよ。」
アトリエで、懸命に話す敏子さんは、その話し方も、表情も、本当に太郎さんそっくりで、
まるで太郎さんが訴えかけてるような錯覚。

私は、敏子さんを通して太郎さんから、多くを学び、多くのパワーをいただきました。

*

あれから数年後、この「明日の神話」を やっとやっと、見つけ出し、
やっとやっと、日本で修復されることになった途中、岡本敏子さん急逝…
太郎さんのもとへと 旅立ちました。

敏子さんが生涯を賭けたこの壁画を見ると、あの特別な時間を思い出します。

記憶を蘇らせる絵の力。

絵だからこそ表現できたこと。

誰もが無条件で見られる岡本太郎の最高傑作「明日の神話」は、
今の日本に、無言で誇らかにメッセージを発している。

***

 

自分を賭けなきゃ。

自分を賭けなきゃ。

  • 作者: 岡本 敏子
  • 出版社/メーカー: イーストプレス
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本


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仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護 [Gallery/美術館]


東京国立博物館 (3月6日まで)

2001年アフガニスタン「バーミヤンの大石仏」が、タリバンによって爆破されました。
世界中に衝撃を与えたその出来事は、
いつか「バーミヤンの大石仏」を見に行きたいという私の夢も、一瞬にして壊されました。

また遺跡やカブール博物館から貴重な文化財が次々に盗まれていく報道を見て、
信じられなく、とてもショックを受けました。


それを救ったのが、平山郁夫さんです。
流出文化財保護日本委員会を立ち上げ、闇に消えゆく文化財を回収、保護してきたのです。
略奪された文化財が、不法売買された流出先は、なんと日本。

今、私たちがこうして至宝を見ることが出来るのは、
皮肉にも泥棒たちのおかげなのか…
流出していなければ、すべての貴重な文化財が破壊されていたことでしょう。

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この展覧会は、文化で国を救おうとした平山郁夫さんの活動が集結されています。
コンセプトがしっかり伝わってきて、感動した、今までで最高のものでした。

私の思い入れ深い、興味のあるものも たくさん展示
特に、ガンダーラ美術。
かつては、誰もが憧れた豊かな国、ガンダーラ…
(今は廃墟と化したパキスタン)

日本文化の原点。

そのガンダーラ仏の流れをくむバーミヤンの大石仏を、日本が主となり再建しようという動きの中で、
平山郁夫さんが断固再建反対していた姿が、今でも記憶に残っています。

広島原爆ドームのように、負の遺産として、現状のまま残すべきだと。

***

最後のブースは、ライフワークの集大成
30年かかって完成させた「大唐西域壁画」は、ものすごいパワーを放っていました。
須弥山として描いたエベレストが目に入ったとき、涙が出てきました。。。

玄奘が越えた山は実際はエベレストではないと、薬師寺のお坊さんからお聞きして、
その絵に託した平山郁夫さんの 命がけの思いを 深く感じとりました。

平山郁夫さんは、人々の平和のために 苦難を乗り越えた 玄奘三蔵そのものだと思います。

 

***



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鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館 [Gallery/美術館]


新潟県十日町市の鉢という小さな集落に残る廃校になった小学校。

その校舎は「越後妻有大地の芸術祭2009」で、美術館として生まれ変わりました。


 *越後妻有大地の芸術祭とは、アーチストと地域住民が協働し、
  3年に一度開催される世界最大の国際芸術祭です。
  地域の価値をアートで掘り起こし、地域再生を目指しています。

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ひと山越えて、谷越えて~、やっと着きました!
「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」

昨年の芸術祭の賑わってる最中は来れなかったけれど、
お祭りの後は、一体どうなってるんだろうと思っていました。

それは、ちゃんと息づいていたのですよ。
里山のアートたちと、それを支える地域の人たち。

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絵本作家の田島征三さんと鉢集落の人々が創り上げた素敵な美術館は、
流木や木の実で作られていて、その迫力に圧倒されます。

校舎の中全体が、絵本の物語仕立てになっているのです!
動く鳴る大きな空間絵本です。


他にも、田島征三さんの絵本原画室や、この土地で採れたおいしいランチ、
そして、行き帰りの 色づく山々の風景も含めて、すべて最高でした。。。

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これから里山は、すっぽり雪に覆われ、白銀の世界になることでしょう。
12月から雪が解けるまで、美術館のオバケはお休みです。

 

オオカミのおうさま

オオカミのおうさま

  • 作者: きむら ゆういち
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 大型本

 



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ブラティスラヴァ世界絵本原画展 [Gallery/美術館]

「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」
千葉市美術館     2010.10.5~12.5

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スロバキア共和国の首都ブラティスラヴァで、2年に1度開催される世界最大の絵本原画展。
ここでは、2009年のグランプリをはじめとする受賞作品と、日本人参加作品が展示されています。


 

美術業界では、低く見られがちな絵本ですが、
これを見たら、もう間違いなく絵本は芸術作品です!

受賞作品の原画は、美しくエネルギッシュで、
原書の装丁やページの連続性などのすべてが計算されつくしていて、
技術や意識の高さに圧倒されっぱなしです。

絵本は、子どもに夢を与えるものだけど、もっと奥が深く、
子どもだけではなく、大人も楽しめる空間。

**********

同時にチェコの人形劇の展示があり、
糸操り人形のデモンストレーションも見ることができました。

本物の人間より、人形の動きの方が、艶めかしく魅力的に見えるって不思議。

チェコでは、家庭用劇場の小さな舞台があって、
一般の家庭で操り人形が楽しまれていたそうです。

その舞台が、ものすごく素敵!(写真禁止で残念)
立体的な生きた紙芝居、という感じです。

紙芝居の枠を「舞台」と呼ぶ意味が、これを見てわかりました。
つながっています。


家の中でお父さんとお母さんが、子どものために人形劇してる姿を想像すると、
チェコの文化は、なんて豊かなんでしょう…と思います。

日本は何でも手に入る娯楽の多い自由な国。
でもその自由さが、共有する時間や絆を奪っていったのかもしれません。


 


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米原万里展 [Gallery/美術館]

市川市芳澤ガーデンギャラリー
2010年5月9日まで


なぜか、行かなくてはいけないような胸騒ぎ。

普段は、閑静な市川真間が
人がゾロゾロ、ギャラリーに向かって歩き、
それはそれは大混雑した上野の美術館のようでした。
なぜこんな人だかりかというと、

先日急逝した井上ひさしさんの絶筆は、この米原万里展のあいさつ文だったことで、
新聞に大きく掲載されていたこと。
その上、この日は万里さんの妹であり、井上ひさしさんの奥様でもある
井上ユリさんの講演も予定されていたのです。
(案の定、残念ながらキャンセルでしたが)


展示は、生い立ちからの写真を中心に、ロシア語通訳の資料や、
原稿や、私物などで充実していました。

秀才で、すべてに長けていて、私とは何ひとつ違う、と羨望の眼差し。

その中で、驚いたのは、一枚の写真。

東京外語大学時代、万里さんは民族舞踊研究会を旗揚げし、
ロシア、ハンガリーなどの世界のダンスを研究、舞台にのせた。
やがてそれは、他大学へと広がっていった。との説明文。

私が学生時代注いできたことの原点は、この人だったんだ!
思わぬ発見。


ますます魅力的な人。
通訳をしながら天職を探し続け、
やっとそれを見つけたというのに、
早すぎる死は残念でなりません。





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