常識を越えた本たち [Favorite/特別な本]
その数か月後、代表のギータさんの来日を知り、連続5日間のワークショップに飛びつきました。
日本の図書館にあるような本が「本」だと思ったら大まちがいだと。
様々な形態の本、おもちゃのような本、見いたことない本…アイディアが豊かで、常識が覆されました。
今回は、本の紹介です。
私が持ってる タラブックスの一部
カバーをはずすと…グルグルと終わりのない本になります。
それをひろげると…内側は海の中。外側はビーチでの人々。これ子どもが入って遊べる大きさです。
すごい!よく考えられて面白い。
半年くらいインドに行って、作ったそうです。
床屋さんのジレンマ…ってタイトルからして興味をそそられます。
とても発想が豊かで、アイディアがどんどん湧いてくるかんじで素晴らしいです。
私は固定概念にとらわれてしまって、抜け出そうとしても、もどってしまう。
そうだ、行き詰ったら、このピンクの本を思い出そう!
もっと、自由に思考を広げてみよう。
癒しの絵本「SECRETS OF THE MOUNTAIN」 [Favorite/特別な本]
こんな素敵な絵が描けたらな…と。
待ちに待って ようやく手にできました。
扉をめくると…
また別の扉が 目の前に広がって…
読み始めると 終わってしまうから…
絵本の2枚の扉を ただただ見つめていただけの一日目。
でも、それだけで絵本は、私を違う世界へ連れて行ってくれ、癒されました~
絵だけでも 何を伝えたいのかわかる。
素敵な画家さんだな~と憧れです。
1枚目の扉と、裏表紙に 同じ絵が使われています。
始まりと終わりが同じ…
太古の昔から続いている自然の営み、繰り返される命が想像できます。
それがまた、1~2か月待てども待てどもイギリスから届かない…
ようやく原書 手にできました。
タイトルがエンボスになっていて、いいな~
「絵本紹介」でこの本が紹介されてました。
原書と翻訳本を比べるのも楽しいです。
The Night Life of Trees [Favorite/特別な本]
Tara Books,インド
私は、広い海の上を ゆらゆら漂っている舟のよう。
そうだ、私は こういう出会いを求めて、イタリアまで来たのだ! と、我に返った。
あの本の編集者ギータ・ウォルフさんが、夏のアトリエの講師で、
私は、とびきりハードで 刺激的な一週間を 過ごすことになったのです。
ギータさんの指導すごかったです。
ギータさんと再会! うれしい~!
タラブックスのギータ・ウォルフさんとV・ギータさんのトーク
初日のレセプションで 南インドの料理
4年前のギータ組が制作したプレゼント
お二人の歓迎会は イタリア料理 (ボローニャの…!)
コクヨホールでのシンポジウムに参加しました。充実感。。。
そういえば、紙芝居も そうでした。イタリアでの出会いから。
魔法のなべと魔法のたま [Favorite/特別な本]
何千匹ものホタルが飛び交う幻想的な光景は、魔法の国のようでした。
だけどホタルの光は、写真に映ってなかった…
あれは、幻だったのかな…
もう20年位前のことですが、千葉の図書館で、棚から何気なく抜き出した1冊の絵本。
その本を開いたとたん、体じゅうに電気が走ったような衝撃を受けました。
私の大好きなヨーロッパの色、香り、空気が伝わってくる絵。
それからも、何度も何度も、返しては借りるの繰り返し…
絶版本だったから、もう手に入らなかった。
この時 「私も、絵本描こう」と決めました。
この絵を描いた人が、どこの誰だかわからない。
現在生きているのか、過去の人なのかさえわからない。
誰に聞いても、知らないという。
何もわからないけれど、憧れの画家。
それから何年もの時が流れ・・・
武蔵野美術大学で、絵本学会の講演に。私は 遠くから拝聴。
カーライさんは、スロバキアのブラティスラヴァ美術大学の教授であり、世界的な絵本作家だと知る。
あの頃 日本では、まだ知名度が低かっただけなのです。
遠いけど、本物に出会えた奇跡。
そのまた何年か後の2009年に・・・
なんと、板橋美術館冬のアトリエで、カーライ先生の指導を受けるという機会に恵まれました。
目の前にカーライ先生がいて、直接お話できて、アドバイスもらえて、勇気もらえて…
信じられない、ふわふわ 地に足がついていない。
カーライ先生が熱弁した瞬間、何度か、先生の頭から金色の光が ミストシャワーのごとく出たから、不思議…
これはやっぱり夢かと思い…
腕をギュッと つねってみたら、い、痛かった。
これ現実なんだ。
最終日、ご夫婦へ寄せ書き。少しだけ覚えたスロバキア語で。
思っていると、本当に繋がっていくんだね。
奇跡ではなくて軌跡。
つかもうとしても つかめない、ホタルの光は…
幻のようだけど、幻じゃない。
ちゃんとそこに 存在していたこと。
ひとくぎりのブログ本 [Favorite/特別な本]
ブログを初めて、ちょうど5年が経ちました。
そして、大きな誕生日がやってきたことで、(もう半世紀も生きています)
この3月で ひとくぎりをつけて、ブログを1冊の本にしました。
ブログ始めたのは、絵本にまつわる思いを残すため。だから、25年ぐらい前からの私の思いが ぎゅっと凝縮されたような本になりました。
自分のためのブログ読み返してみたら…
わ~っ、こんなこと書いてた…昔書いたことは、もう忘れていました。
書くことで、気持ちが 整理されていったので、それでいいのだと思う。
だけど、どんなに月日が流れても、変わらない思いもあるけれどね。
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昨年、山間部に引っ越して来た時は、 ネットが通じず、
自分のブログを見ることさえ できませんでした。
今まで当たり前と思っていたことが、当たり前ではないことに気づかされます。
どんなにデジタル社会になっても、信頼できるのは やっぱり紙であり、
私は、紙の本を大切にしていきたいです。
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昔のは、読み返すのも ドキドキ…
最近のは、記憶も鮮明。
いつかは遠い過去になっていくのかな。
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これからも変わらず マイペースで。
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昔の記事読み返して… 恥ずかしいので、ブログ記事 どんどん消去しちゃってます。
ごめんなさい。
はらぺこあおむし [Favorite/特別な本]
エリック・カール
私の絵本の原点。
今では、みんなに愛されている おなじみの絵本ですが、
私が 最初に目にしたのは、高校生の時。
日本で この本の知名度が低かった ウン十年も大昔。
学校帰りに、友達と駅ビルを歩いていたら、偶然絵本展。
その人が一体誰なのか、全く知らないけれど、
目に映った 鮮やかな力強い絵に引き寄せられて、ついふらりと…
順番に見ていくと、物語になっていて、感動しました。
でも、高校時代のそんなひと時は、もうとっくに忘れ去り―。
時は過ぎ・・・
*
結婚して・・・
我が子が生まれ・・・
喜びで、絵本コーナーに立ち寄った時のこと、
ある一冊の絵本に、くぎ付けになりました。
心が ふるえました。
見覚えのある 鮮やかな色彩。。。
突然蘇る あの時の情景。
手にした本は「はらぺこあおむし 」
そうです! 高校生の時見た絵は、紛れもなくこの絵本!
脳裏に焼き付いていた 色と形。
即買い。 この時にはすでに 人気絵本。
初めて買った絵本は、いつも子供の成長と共にありました。
絵本には、表面の美しさだけでなく、見る人の遠い記憶を呼び覚ます
不思議な力が潜んでいるのです。
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「はらぺこあおむし」は、
小さく醜いあおむしが、最後には美しい蝶になる話。
蝶が羽を広げるように、小さな子どもたちが成長して、
いつか才能を広げて 飛び立つイメージと重なっていきます。
出版当初は、反響がなく、あまり人気のない本が、
エリック・カールが、ボローニャ国際児童図書展で受賞したことで、
この絵本に、一気に注目が集まるようになったそうです。
本とおもちゃの中間にある この本の 穴があいてるアイディアは、
たまたま パンチで開けた紙の穴を見て思いついた 偶然の産物。
最初は、自分自身が楽しむために作ったとのこと。
それが、いつしか見る人との間に 共感が生まれていくのでしょう。
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エリック・カールのことば
「まわりの人が どう思うか気にして創作するのではなく、
自分が 本当にやりたいことをやりなさい。
それはいつか誰かにつながって、理解されるようになっていく。」
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心に沁みます。。。
しろいうさぎとくろいうさぎ [Favorite/特別な本]
The Rabbits' Wedding
「いつも いつまでも きみといっしょにいたい」
という黒いうさぎの願いは叶い、結婚式をあげるシンプルなストーリー。
モノクロの世界は、人生最大の幸せに包まれて、彩られていく。。。
この絵本には、「愛」とか「好き」という言葉が一切でてこない。
「いつまでも」という未来への表現だけで すべてが伝わるのです。
作者のガース・ウイリアムズさんは、どうしてこんなに 女心をわかっているのでしょう。
女の子は、いつも待っているのです。
「いつも、いつまでも・・・」
だけど私、単純なお話の中には、暗号やメッセージが隠されているのではないかと、
ついつい裏を 探ってしまう癖。
白黒のウサギの意味するものは、今もなお根強く残るアメリカの人種問題や、
異文化の融合などを語っているのではないだろうか…。
と、勝手に想像力を働かせていたら、
偶然 目にした雑誌に 作者のインタビューが 載っていました。
「この絵本、当初は社会問題になったけど…
(なんだ、同じこと考えてる人たちがいたのね)
うさぎの色を、白と黒にしたのは、
ただ、2匹をわかりやすく区別しただけのこと。
本当に純粋なお話のつもりで作った。」
と書かれてた。
衝撃的でした。
絵本にではなく、自分の思考の歪みに。
人の心の裏側を 深読みしても、いいことはない。
もっと、ピュアに。。。
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洋書の紙の手触りが好き
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「いつも いつまでも…」
待っていたのです。
そして「いまでも」
待っているのですよ。
不思議の国のアリス [Favorite/特別な本]
Alice's Adventures in Wonderland
「黙って持っていって、ごめんなさい。」
と、娘のランドセルから出てきたのが、このアリスのpop-up 絵本。
とうの昔、千葉に引っ越して来たばかりの出来事。。。
棚の高い所に しまい込んでいた 私の大切な絵本。
娘は その本をみつけて、こっそり学校へ持って行ってしまったのだ。
聞くと、授業で 「飛び出すカード」を作るから、見本になるように、
この素敵な「飛び出す 絵本」を、みんなに見せてあげたかったと。
先生が、この本を紹介したら、クラスのみんなが集まってきて、とても喜んでくれたそう。
話を聞いてて、感動。。。
知らない土地に引っ越してきたばかりで、転校生として不安のなか、
本が、仲間と解け合う ツールになったようだ。
本には、人と人をつなぐ役割もあるんだと、改めて感じた日。
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このアリスの絵本は特別な本。開くと…
ずっと 胸の奥に しまい込んでいた気持ちを 思い出します。
それは、私の 長い片思い。
ふと蘇る 苦しい気持ち…。
願いは叶わなかったけれど、短く楽しい思い出は、宝物。
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「ねぇママ、知ってた?このお話、夢だったんだよ。」
知ってるよ。 楽しい出来事は、全部夢の中だったって。
だけどやっぱり 絵本の結末が、夢落ちとは、残念かな。
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最近、ずっと気になっていた本を借りてみた。
アリスの原文。 ルイス・キャロルの手書き文字の。
辞書引いて丁寧に訳してみた。
最後のページだけね。
そしたら、すごい発見!
なんて、素敵!
単なる夢落ち じゃなかったよ。
長年の謎が解けたよう。。。
作者が、一番 伝えたかったことが、
ここに集約されているのではないだろうか。
ほとんどのアリス絵本では、カットされてしまっている、大事な最後の場面。
それは・・・
お姉さんが、大人になったアリスを想像すること。
『キラキラした少女時代は短い。
幸せな日々は、長くは続かない。
だけど、昔のままの純真で優しい心を持ち続けることで、
きっと、年を重ねても、豊かな人生を送れるのでしょう。』
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この絵本は、もう シミだらけになってしまった。
時の流れともに すべてが風化していく…
だけどいつか、私がしわだらけのお婆さんになっても、
ときめいた あの頃の気持ちは、決して忘れないでしょう。
きっと、きっと・・・
心の持ち方ひとつで、豊かな人生になっていく。
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ぶれない [Favorite/特別な本]
ぶれない―骨太に、自分を耕す方法
平山郁夫
何度も読み返した元気になれる本。
この本は、画家として、また組織のトップとしての
自身の経験をもとにつづられていますが、
すべての職業の人や、今悩んでる人にも通じる
人生を豊かに生きる方法。
平山郁夫さんは、人間を超越した存在かと思っていましたが、
そこまで到達するのに、人の何倍も鍛錬してきたことがわかります。
平山郁夫さんの描く絵は、見る人の心を
時空を超えて、旅させてくれます。
絵から感じる魂の叫びの意味は、この本と連結しています。
心の中の甘えを断ち切り、志を高く持つこと。
わかっていても楽な方へ流れていくのが、世の常ですが、
厳しく自分を律し、貪欲に勉強を続けてきた人の言葉には、
重みがあります。
平山郁夫さんが、この世の人でなくなっても、
残してくれた足跡は、生きる上での道しるべです。
ハーメルンの笛吹き [Favorite/特別な本]
(左)ケイト・グリーナウェイ 絵 (右)エロール・ル・カイン 絵
原宿で「アイドル出没」のデマが広がり、若者が殺到。ケガ人続出の大騒動。
この信じがたいニュースの映像から、
「ハーメルンの笛吹き」を思い浮かべました。
130人の子どもたちが忽然と姿を消した
1284年6月26日、ドイツのハーメルンで起こった不思議な事件。
「楽しく素晴らしい所へ連れて行ってあげる」
との笛吹き男の言葉に憑かれ、
次から次へと子どもたちは後をついて行きました。
だだひとり残されたのは、足の悪い子ども。
みんなと一緒に楽園について行けなかったことを
いつまでも、ひどく悲しみました。
面白そうな噂が流れると、一斉にそちらへ
ワーッと流れていく。
誰かがイイと言えば、みんな欲しがる。
時代は変わっても、同じことが繰返されています。
情報網が発達している現代、さらに増長されているように感じます。
「ハーメルンの笛吹き」は、
そんな現代人への警告であるとも言えるでしょう。
足の悪い子は、私自身に投影されます。
いつも最後。人に追いつけない。
深層の悲しみは誰にもわかってもらえない。
だけど、足の悪い子には、
ただひとり、人々に真実を伝えるという
とても大切な役割を担っています。
みんなと同じでなくてもいいのです。
その事件は、ドイツで伝承されていき、
19世紀後半には、ケイト・グリーナウェイなどによる挿絵で、絵本になりました。
絵本の力は偉大で、700年以上も前の恐ろしい事件が、
世界中の人々に愛され、語り継がれていくお話となったのです。
130人の子どもたちは誰も、町には帰って来なかったけれど、
本当にみんな、楽しく幸せな日々を送っていたのでしょうか。
私は思います。そこは楽園という名の地獄であったと。