ブラティスラヴァ世界絵本原画展 [Gallery/美術館]
「ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇」
千葉市美術館 2010.10.5~12.5
スロバキア共和国の首都ブラティスラヴァで、2年に1度開催される世界最大の絵本原画展。
ここでは、2009年のグランプリをはじめとする受賞作品と、日本人参加作品が展示されています。
美術業界では、低く見られがちな絵本ですが、
これを見たら、もう間違いなく絵本は芸術作品です!
受賞作品の原画は、美しくエネルギッシュで、
原書の装丁やページの連続性などのすべてが計算されつくしていて、
技術や意識の高さに圧倒されっぱなしです。
絵本は、子どもに夢を与えるものだけど、もっと奥が深く、
子どもだけではなく、大人も楽しめる空間。
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同時にチェコの人形劇の展示があり、
糸操り人形のデモンストレーションも見ることができました。
本物の人間より、人形の動きの方が、艶めかしく魅力的に見えるって不思議。
チェコでは、家庭用劇場の小さな舞台があって、
一般の家庭で操り人形が楽しまれていたそうです。
その舞台が、ものすごく素敵!(写真禁止で残念)
立体的な生きた紙芝居、という感じです。
紙芝居の枠を「舞台」と呼ぶ意味が、これを見てわかりました。
つながっています。
家の中でお父さんとお母さんが、子どものために人形劇してる姿を想像すると、
チェコの文化は、なんて豊かなんでしょう…と思います。
日本は何でも手に入る娯楽の多い自由な国。
でもその自由さが、共有する時間や絆を奪っていったのかもしれません。
はらぺこあおむし [Favorite/特別な本]
エリック・カール
私の絵本の原点。
今では、みんなに愛されている おなじみの絵本ですが、
私が 最初に目にしたのは、高校生の時。
日本で この本の知名度が低かった ウン十年も大昔。
学校帰りに、友達と駅ビルを歩いていたら、偶然絵本展。
その人が一体誰なのか、全く知らないけれど、
目に映った 鮮やかな力強い絵に引き寄せられて、ついふらりと…
順番に見ていくと、物語になっていて、感動しました。
でも、高校時代のそんなひと時は、もうとっくに忘れ去り―。
時は過ぎ・・・
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結婚して・・・
我が子が生まれ・・・
喜びで、絵本コーナーに立ち寄った時のこと、
ある一冊の絵本に、くぎ付けになりました。
心が ふるえました。
見覚えのある 鮮やかな色彩。。。
突然蘇る あの時の情景。
手にした本は「はらぺこあおむし 」
そうです! 高校生の時見た絵は、紛れもなくこの絵本!
脳裏に焼き付いていた 色と形。
即買い。 この時にはすでに 人気絵本。
初めて買った絵本は、いつも子供の成長と共にありました。
絵本には、表面の美しさだけでなく、見る人の遠い記憶を呼び覚ます
不思議な力が潜んでいるのです。
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「はらぺこあおむし」は、
小さく醜いあおむしが、最後には美しい蝶になる話。
蝶が羽を広げるように、小さな子どもたちが成長して、
いつか才能を広げて 飛び立つイメージと重なっていきます。
出版当初は、反響がなく、あまり人気のない本が、
エリック・カールが、ボローニャ国際児童図書展で受賞したことで、
この絵本に、一気に注目が集まるようになったそうです。
本とおもちゃの中間にある この本の 穴があいてるアイディアは、
たまたま パンチで開けた紙の穴を見て思いついた 偶然の産物。
最初は、自分自身が楽しむために作ったとのこと。
それが、いつしか見る人との間に 共感が生まれていくのでしょう。
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エリック・カールのことば
「まわりの人が どう思うか気にして創作するのではなく、
自分が 本当にやりたいことをやりなさい。
それはいつか誰かにつながって、理解されるようになっていく。」
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心に沁みます。。。