岡本太郎「明日の神話」と、特別な時間 [Gallery/美術館]
フェルメール<地理学者>とオランダ・フランドル絵画展
Bnkamera ザ・ミュージアム (~5月22日まで)
これを観にいくため、渋谷へ。
この世に30数点しかないフェルメールの絵は、いつも大人気!
今回も、人垣の隙間から鑑賞。
立ち止まって、近づいて、ゆっくり観てみたいな。
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フェルメールの美術館へ行く途中、魅せられたのは、
渋谷駅構内に飾られている岡本太郎「明日の神話」
この壁画がいたずらされたと、今月初めの新聞で知ってから、心を痛めていました。
そして、この絵を見に行こうと思った今朝、犯人が見つかった記事が…。 ……。
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この壁画は、原爆の炸裂する瞬間を描いたもの。
だけど、悲惨さを訴えてるのではなく、
それでも負けずに生きていく人間の 力強いメッセージが込められているのです。
「太陽の塔」と同時期にメキシコで制作されたもので、
30余年も行方不明に。
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私は、太郎さんのパートナー岡本敏子さんから、直接 この壁画のお話を 伺いました。
「太郎さんの壁画を、長い間ずっと探している。 とってもすばらしいのよ!
何が何でも見つけ出したい!」
と、この絵に人生を 賭けていました。
美術館の学びの中で、敏子さんとの出会いは、
とても有意義で、幸せで、特別な時間。
憧れの女性です。
「太郎さんは、生きているの。今、ここに居るのよ。」
アトリエで、懸命に話す敏子さんは、その話し方も、表情も、本当に太郎さんそっくりで、
まるで太郎さんが訴えかけてるような錯覚。
私は、敏子さんを通して太郎さんから、多くを学び、多くのパワーをいただきました。
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あれから数年後、この「明日の神話」を やっとやっと、見つけ出し、
やっとやっと、日本で修復されることになった途中、岡本敏子さん急逝…
太郎さんのもとへと 旅立ちました。
敏子さんが生涯を賭けたこの壁画を見ると、あの特別な時間を思い出します。
記憶を蘇らせる絵の力。
絵だからこそ表現できたこと。
誰もが無条件で見られる岡本太郎の最高傑作「明日の神話」は、
今の日本に、無言で誇らかにメッセージを発している。
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